こんにちは!
今回のテーマは『効果がある遺言事項』
です。
遺言書は書いたこと全てに法律的な効果が
あるわけではありません。
有効な遺言事項は法律によってきっちりと
決められています。
今回はそれら全17個を列挙して、簡単に解
説を加えたいと思います。
【効果がある遺言事項】
〇身分に関すること
・推定相続人の廃除およびその取消
⇒ 遺言執行者だけができます。
・認知
⇒ 遺言執行者だけができます。
認知とは婚姻関係にない男女間
の子を父親が「この子は私の子
です」と認めることをいいます。
・未成年後見(監督)人の指定
⇒ 未成年の子の最後の親権者は
遺言によって、その子の後見人
ならびに後見監督人を指定する
ことができます。
〇財産に関すること
・相続分の指定、指定の委託
⇒ 相続財産の分割の割合を相続人
ごとに指定することができます。
また、第三者に分割の割合を決
めてもらう委託をすることもで
きます。
・特別受益の持戻しの免除
⇒ 特別受益があった場合、本来
なら受益分を一度、相続財産に
戻さなければなりませんが、そ
れを免除させることができます。
・遺産分割の禁止
⇒ 遺言者は相続開始の時から5年を
超えない範囲で遺産分割を禁止
することができます。
・遺産分割方法の指定、指定の委託
⇒ 相続財産の分割方法を指定する
ことができます。
また、第三者に分割方法を決め
てもらう委託をすることもでき
ます。
・相続人相互の担保責任の指定
⇒ 他人の土地を相続したり、相続
した債権を満額回収できなかっ
たりして、特定の相続人が損害
を被った場合、他の相続人はそ
の損害をカバーしなければなり
ません。
遺言者はそれらの損害のカバー
の仕方を指定することができま
す。
・遺留分減殺方法の指定
⇒ 遺留分を侵害する割合で遺産を
分割したとき、侵害された人は
侵害した人に対して、遺留分減殺
請求をすることができます。
本来は、侵害した人たちがその
割合に応じて、侵害された人に
弁済をしますが、それ以外の方
法を遺言によって指定すること
ができます。
・遺贈
⇒ 相続財産を相続人以外の第三者
に譲渡することができます。
・信託の設定
⇒ 特定の者に対して、遺産を譲渡
したり、処分権限を与えること
で、一定の目的に従い、その目
的を達成させるために必要な遺
産の管理や処分をさせることが
できます。
・財団法人設立のための寄付
⇒ 遺言者は遺言で一般財団法人を
設立させる意思表示をすること
ができます。
遺産を財団を通して、世の中の
役に立つように使ってほしいと
いう場合に一般財団法人を設立
して、その際に拠出する金額を
明示します。
・生命保険金受取人の変更
⇒ 遺言者は生命保険金の受取人を
遺言によって変更することがで
きます。
〇遺言の執行に関すること
・遺言執行者の指定、指定の委託
⇒ 遺言執行者を指定することがで
きます。
また、第三者に遺言執行者を決
めてもらう委託をすることもで
きます。
・遺言執行者の職務内容の指定
⇒ 遺言執行者が請け負う職務の
内容を指定することができます。
〇その他
・祭祀主宰者の指定
⇒ 仏壇や墓地に関することを受け
継ぐ者を指定することができま
す。
後継者の指定は第一に遺言者の
指定、第二に地方の習慣、第三
に家庭裁判所の選任の順で決ま
ります。
・遺言の取消
⇒ すでに書いた遺言を別の遺言に
よって取消することができます。
以上のことが遺言としての法律的な効果が
ある事項です。
これ以外のことで「書いてもいいけど効力
がないもの」も存在します。
次回はそれをテーマにしたいと思います。