特別受益

20150715

こんにちは

今回のテーマは『特別受益』です。

これは法定相続分と関係してきますので、
まずは下記リンクをご覧ください。
法定相続分

法定相続分は相続人の立場に応じて「遺産の
何割を相続するか」という原則を決めた規定
です。

『特別受益』は、共同相続人のなかに事前に
贈与を受けた人がいる場合に相続人同士の公
平を維持するために、法定相続分の計算のや
り直しができる制度と思ってください。

それでは、『特別受益』について具体的に
みていきましょう。

 

【特別受益とは】
共同相続人のなかに相続開始以前に被相続人
から贈与を受けている人がいた場合、そこか
らさらに法定相続分の計算をすると、その人
は他の相続人より多くの遺産を相続すること
になります。

他の相続人からすると、公平に欠ける話です
よね。

そこで、事前に受けていた贈与を「一度
なかったこと」にして、法定相続分を計
算し、その結果から事前の贈与を差し引
くことで相続人同士の公平感を保とうと
いうことです。

ちょっと分かりにくいかもしれません
ので、具体例を挙げます。

 

【特別受益の計算方法】
(例)
・相続開始時の遺産額:6,000万円
・法定相続人は被相続人の子供3人
(子A、子B、子C)
・子Aが1,500万円の特別受益を受けていた

この場合、

通常の法定相続分の計算
相続開始時の遺産額6,000万円を3人で
均等割りしますので、
1人あたりの法定相続分は2,000万円
となります。

これだと、実質的な相続額は
子A:3,500万円 (2,000万+1,500万)
子B:2,000万円
子C:2,000万円
となり、子B、Cにとっては「Aズルい!」
と感じるかもしれません。

 

特別受益を考慮した法定相続分の計算
特別受益額1,500万円を一度なかったことに
しますので、相続開始時の遺産額6,000万円
にこれを加えます。
1,500万円 + 6,000万円 = 7,500万円
これを“特別受益の持戻し”といいます。

次に、これを3人で均等割りします
7,500万円 × 3分の1 = 2,500万円

さらに事前に特別受益を受けた人は
ここから特別受益の金額を差し引きます。
2,500万円 - 1,500万円 = 1,000万円

つまり、最終的な法定相続分の金額は
子A:1,000万円
子B:2,500万円
子C:2,500万円 となります。

子Aは特別受益額1,500万円を含めて実質、
2,500万円を被相続人から相続したとみる
ことができますので、子B、Cの不公平感
をなくすことができました。

 

【特別受益となる贈与】
特別受益に該当する贈与はおおまかに
以下の3パターンです。

1.遺贈
2.婚姻もしくは養子縁組のための贈与
3.生計の資本としての贈与

お気づきのとおり、これは“ざっくり”とした
基準で、「生計の資本」と言われても人に
よって基準が異なりますよね。

どこからが特別受益で、どこまでが特別
受益ではないかは一概には言えませんが、
上記の贈与があった場合は≪特別受益≫
という言葉を思い出していただければと
思います。

 

★今回のポイント★
1.相続人同士の公平を維持するため事前に
  贈与を受けている人がいた場合、法定相
  続分の計算のやり直しができる
2.特別受益となる贈与は、大きく分けて
  3パターンある

次回は「特別受益」の逆バージョン、
『寄与分』をお届けします。

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