相続の限定承認

20160713

こんにちは

今回のテーマは『限定承認』です。

正直、私もこの『限定承認』のケースには
まだ出会ったことはありません。

近くの弁護士に聞いても、ほとんど扱った
例はないようです。

ただ知っていて損をすることはないと思い
ますので、最後までご覧いただければと思
います。

 

【限定承認とは】
相続財産には現金や不動産といった「プラ
スの財産」と借金といった「マイナスの財
産」がありましたよね。

通常、
「プラスの財産が多い時」は全部相続、
「マイナスの財産が多い時」は全部放棄
する場合がほとんどです。

では、プラスの財産とマイナスの財産の
「どちらが多いか分からないとき」はどの
ようにすればいいのでしょうか。

ここで登場するのが『限定承認』です。

『限定承認』とは、
「プラスの財産の範囲内でマイナスの財産も相続する」という意味です。

 

具体例を挙げます。

【例】
相続財産のうち
プラスの財産が2,000万円
マイナスの財産が3,000万円 の場合

全部相続の場合
相続人はプラスの財産もマイナスの財産も
相続します。
マイナスの財産については、その返済義務も
相続人が引き継ぎます。
マイナス財産の貸主は、相続人から3,000万
円を返済してもらうことができます。

全部放棄の場合
相続人の手元にはプラスの財産もマイナスの
財産も残りません。
マイナス財産の貸主は3,000万円全部を返し
てもらえないことになります。

限定承認の場合
プラスの財産が2,000万円ですので、マイナ
スの財産も2,000万円だけ相続します。
相続人の手元には財産は残りません。
マイナス財産の貸主は2,000万円は返って
くるので、全部放棄よりマシです。

 

【限定承認の期間と方法】
限定承認は「相続が発生したことを知った時
から3ヶ月以内」に家庭裁判所に申し出なけ
ればなりません。

これは「相続放棄」のルールと同じですね。
相続放棄

もし相続の発生を知った時から3ヶ月が経過
してしまうと、「全部相続した」とみなされ
てしまうため、注意が必要です。

また、限定承認は一緒に相続をする相続人
全員で裁判所に申し出をしなければなりま
せん。

つまり、一人だけの意思では申し出ができ
ないということです。

もし共同相続人の一人が全部相続すること
を認めたり、限定承認に反対の人がいると、
この制度はつかえなくなってしまいます。

 

★今回のポイント★
1.限定承認はプラスの財産とマイナスの
  財産のどちらが多いか分からない時に
  有効
2.限定承認は「相続を知ったときから
  3ヵ月以内」に家庭裁判所に申し出る
3.限定承認は共同相続人全員で申し出な
  ければならない
4.共同相続人のうちの一人でも限定承認
  に反対の人がいたり、全部相続を承認
  したりすると限定承認は申請できない。

次回は『養子』についてお届けします。

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