こんにちは!
今回のテーマは『遺言の撤回』です。
遺言書はいつでも自由に撤回して作り直す
ことができます。
今回は遺言書の撤回の方法と注意点を紹介
したいと思います。
【遺言の撤回の方法】
全部で5つ紹介します。
・前の遺言を撤回する旨の遺言をする
⇒ 新しい遺言書のなかに、前に書いた
内容を撤回する旨を書きます
・前の遺言に抵触する内容の遺言をする
⇒ 前の遺言と矛盾することを書きます。
矛盾する内容は、新しい方の遺言書
に記載されていることが優先されま
すので、古い内容を撤回することと
同じ効果があります。
(例)
前の遺言「家を長男に相続させる」
新しい遺言「家を次男に相続させる」
この場合、同じ家を相続させる相手が矛盾
していますね。このときは、新しい遺言書
が優先され、古い遺言書は撤回されたこと
になります。
よって、この場合は次男が不動産を相続す
ることになりそうです。
・前の遺言に抵触する生前処分をする
⇒ 遺言者が生前に遺言の内容と矛盾
する行為をしたときは、遺言書の
内容は撤回したとみなされます。
(例)
遺言書には「株式を全部長男に相続させる」
と書いていたのに、遺言者が生前にその株
式を全て売却した場合、遺言に書いた内容
は撤回されたこととなり、長男は相続でき
ません。
・遺言書を破棄する
⇒ 遺言者が故意に遺言書を破るなど破棄
した場合は、破棄した部分について遺
言を撤回したものとみなされます。
・遺贈の目的物を破棄する
⇒ 遺言者が故意に遺贈の目的物を破棄
したときは、その遺贈を撤回した
ものとみなされます。
【遺言撤回の注意点】
・遺言の方式に従わないと無効
⇒ 遺言の撤回は、遺言のルールにしたが
って書かなければ無効となります。
特に自筆証書遺言を遺す場合には注意
してください。
・遺言の種類は異なってもOK
⇒ 撤回の遺言の種類は決まっていませ
ん。
自筆証書遺言でもかまいませんし、
公正証書遺言でもかまいません。
公正証書遺言を自筆証書遺言で撤回
することもOKです。
・遺言者は撤回の権利を放棄できない
⇒ 遺言の撤回は権利の一つですが、この
権利は事前に放棄することができませ
ん。
もし事前に撤回の放棄を認めてしまう
と、放棄後に気が変わって、前に書い
た遺言書を撤回したいと思っても、そ
れができず、遺言者の意思を尊重でき
ないためです。
民法では遺言者の意思を大切にしてい
るんですね。
遺言の撤回は遺言者の意思を最後まで尊重
するよう、さまざまなカタチで行うことが
認められています。
かといって、相続人が詐欺や強迫によって、
無理やり遺言を撤回させることは、その
撤回自体が無効となりますので、けっして
なされないように…
次回は「複数の遺言書が見つかった場合」
をテーマにお届けします。