遺言の撤回

20160905

こんにちは!

今回のテーマは『遺言の撤回』です。

遺言書はいつでも自由に撤回して作り直す
ことができます。

今回は遺言書の撤回の方法と注意点を紹介
したいと思います。

 

【遺言の撤回の方法】
全部で5つ紹介します。

・前の遺言を撤回する旨の遺言をする
 ⇒ 新しい遺言書のなかに、前に書いた
   内容を撤回する旨を書きます

 

・前の遺言に抵触する内容の遺言をする
 ⇒ 前の遺言と矛盾することを書きます。
   矛盾する内容は、新しい方の遺言書
   に記載されていることが優先されま
   すので、古い内容を撤回することと
   同じ効果があります。

(例)
前の遺言「家を長男に相続させる」
新しい遺言「家を次男に相続させる」

この場合、同じ家を相続させる相手が矛盾
していますね。このときは、新しい遺言書
が優先され、古い遺言書は撤回されたこと
になります。
よって、この場合は次男が不動産を相続す
ることになりそうです。

 

・前の遺言に抵触する生前処分をする
 ⇒ 遺言者が生前に遺言の内容と矛盾
   する行為をしたときは、遺言書の
   内容は撤回したとみなされます。

(例)
遺言書には「株式を全部長男に相続させる」
と書いていたのに、遺言者が生前にその株
式を全て売却した場合、遺言に書いた内容
は撤回されたこととなり、長男は相続でき
ません。

 

・遺言書を破棄する
 ⇒ 遺言者が故意に遺言書を破るなど破棄
   した場合は、破棄した部分について遺
   言を撤回したものとみなされます。

 

・遺贈の目的物を破棄する
 ⇒ 遺言者が故意に遺贈の目的物を破棄
   したときは、その遺贈を撤回した
   ものとみなされます。

 

【遺言撤回の注意点】
・遺言の方式に従わないと無効
 ⇒ 遺言の撤回は、遺言のルールにしたが
   って書かなければ無効となります。
   特に自筆証書遺言を遺す場合には注意
   してください。

 

・遺言の種類は異なってもOK
 ⇒ 撤回の遺言の種類は決まっていませ
   ん。
   自筆証書遺言でもかまいませんし、
   公正証書遺言でもかまいません。
   公正証書遺言を自筆証書遺言で撤回
   することもOKです。

 

・遺言者は撤回の権利を放棄できない
 ⇒ 遺言の撤回は権利の一つですが、この
   権利は事前に放棄することができませ
   ん。

   もし事前に撤回の放棄を認めてしまう
   と、放棄後に気が変わって、前に書い
   た遺言書を撤回したいと思っても、そ
   れができず、遺言者の意思を尊重でき
   ないためです。
   
   民法では遺言者の意思を大切にしてい
   るんですね。

 

遺言の撤回は遺言者の意思を最後まで尊重
するよう、さまざまなカタチで行うことが
認められています。
かといって、相続人が詐欺や強迫によって、
無理やり遺言を撤回させることは、その
撤回自体が無効となりますので、けっして
なされないように…

 

次回は「複数の遺言書が見つかった場合」
をテーマにお届けします。

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