その“生前贈与” 本当に必要ですか?

20161115

こんにちは!

これまで贈与(生前贈与)について税金の
仕組みや非課税措置(節税対策)の解説を
してきましたが、もう一度原点に戻ってみ
たいと思います。

生前贈与を考えていらっしゃる方!
その生前贈与はメリットがありますか?
デメリットの方が大きくないですか?

私なりにアドバイスをさせていただきます
ので、いま一度考えてください。

 

【相続税は支払わなければなりませんか?】
以前、相続税の計算方法を解説した時に、
遺産額が基礎控除額の範囲内である場合は
相続税を納めることがないことをお伝えし
ました。

さて問題です。

平成26年に亡くなった方のうち、相続税を
納税しなければならなかった人全体の何%
だったでしょうか?

この年は基礎控除額が減額される前でしたので
現在の制度よりは少ないのですが…

 

答えは… 4.4%です。
つまり22人~23人に1人の割合でした。

さて皆さんは本当に相続税を納めなければなら
ないのでしょうか?

生前贈与の最大の目的は相続税の節税です。
そもそも相続税を納める必要がない方にとって
節税や生前贈与に大きなメリットはありません。

まずは財産を洗い出し、本当に相続税を納税
しなければならないかを見直しましょう。

 

【節税額以上に贈与税を払うことになりませんか?】
相続税の税率と贈与税の税率を比較すると
贈与税の税率の方が高くなっています。
相続税の税率
贈与税の税率

これまで紹介してきた贈与税の非課税措置には
限度額が設定されており、それを上回る贈与に
対しては贈与税が課税されます。

生前贈与によって、結果的に相続税の税率は
下がったものの、それ以上に贈与税を支払う
ことになっては意味がありません。

「生前贈与はしない」という選択肢も含め、
どの方法が最も節税に向いているのか、
いま一度、天秤にかけて考え直しましょう。

 

【老後の資金、納税の資金は考えてますか?】
生前贈与を検討されている方は、ご自身の今後の
生活のことも合わせて考えましょう。

生活費はもちろん、医療費や娯楽費など、思った
以上にお金が必要なケースが多くあります。

ご自身の生活プランを元に、年間に必要な金額を
計算し、贈与する金額を算出しましょう。

また、相続税を納税しなければならない場合は
相続人の負担を軽減させるために、納税資金を
遺してあげることも考えてあげた方がいいかも
しれませんね。

 

このように、生前贈与が大きなメリットを生む
ケースは非常に限られています。

また、親族間での不要な“感情の対立”を招きか
ねません。
「あの子は贈与を受けたのに、私は貰ってない…」
という感じで…

贈与者本人は良かれと思ってやったことが逆に
その後のトラブルの元になってしまう可能性も
十分にあります。

生前贈与を考えるときは「お金の面」と親族の
「感情の面」の両方から検討してみてください。

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