配偶者への居住用不動産の贈与

20161108

こんにちは!

これまで贈与に関する基本的な
内容について解説をしてきました。

今回からは特定の財産や特定の人に
対する贈与について贈与税が優遇さ
れる制度に関して解説をしていきた
いと思います。

第1回目の今回は
『配偶者への居住用不動産の贈与』
がテーマです。

 

【制度の概要】
一定の婚姻期間が経過した夫婦の間で
居住用の不動産の贈与または居住用の
不動産を購入するための金銭の贈与が
あった場合に贈与税が優遇される制度
です。

 

【優遇される内容】
原則、贈与税の基礎控除は110万円ですが、
この制度を利用するとさらに2,000万円
つまり合計2,110万円が控除されること
になります。

 

【制度利用のための要件】
この制度を利用するための要件は以下の
とおり決まっています。

・夫婦の婚姻期間が20年を過ぎてからの
 贈与であること
・日本国内の不動産の贈与もしくは
 日本国内の不動産を購入するための
 金銭の贈与であること
・贈与を受けた翌年の3月15日までに
 その不動産に住んでおり、その後も
 引き続き住み続ける見込みであること

これらの条件を全て満たした場合のみ
この制度を利用することができます。

 

【制度利用のメリット】
相続税の節税
“必ず”というわけではありませんが、
この制度の利用は相続税の節税に有効
となる場合があります。

ただ、この制度を使っても2,110万円を
超える部分については贈与税が課税され
ますので、次の2つのケースのうちどちら
の方がトータルの税金が少なくなるかを
見極める必要があります。

 

ケース1
制度を利用して、被相続人の財産から
居住用不動産を生前に贈与してもらう

このケースでは贈与税も相続税も支払わな
ければなりませんが、大きな控除を受けら
れると同時に財産を少しずつ手放すことで、
それぞれの税率が低くなり、結果的に相続
税を節税できる可能性があります。

 

ケース2
制度を利用せず、他の相続財産と一緒に
相続の対象とする

このケースでは相続税のみ支払わなけれ
ばなりませんが、課税対象額が大きくな
ってしまい、税率が高くなってしまう可
能性があります。

 

どちらの方が良いかは一概には言えま
せんが、利用要件を満たしている場合
には、一度検討されてみてもいいかも
しれませんね。

 

居住用不動産を配偶者に遺せる
やはり心配になるのが、自身の死後の
配偶者の生活ではないでしょうか。

そのなかでも家は生活の基盤になる
場所ですので、その確保には努めたい
ところです。

しかし、通常の相続ですと遺産分割や
納税の時の資金調達のためにその家を
手放さなくてはならないというケース
が残念ながら存在します。

生前にこの制度を利用すれば、遺産
分割で他の相続人に家を相続される
心配はなくなります。

また、納税資金を同時に用意してあげ
ることが出来ればベストで、贈与を受
けた配偶者は安心して生活の基盤を守
ることができそうですね。

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