こんにちは
本日のテーマは『同時死亡の推定』です。
あまり考えたくないお話しですが、頭の片隅
に入れていただければと思います。
【同時死亡の推定】
亡くなった方が複数人いる場合にどちらが
先に亡くなったかが不明なときは「同時に
死亡した」と推定されます。
災害や事故などの場合、死亡の先後が不明な
ケースがあります。
こういった場合に法定相続人が誰になるか、
法定相続分がいくらになるのかがこのお話
のポイントです。
具体例を挙げます。
登場人物
父:一郎
母:花子
長男:A
長男の妻:A子
長男の子:A太郎
次男:B
この一家が車で旅行に出かけましたが、その
帰り道に事故に遭ってしまいました。
そして残念ながら、事故により父:一郎と
長男:Aが亡くなってしまいました。
どちらが先に亡くなったかは不明です。
今回のケースでは父:一郎と長男:Aが同時
に死亡したと推定されますので、父:一郎は
長男Aが死亡したときには、すでに亡くなっ
ていたことになります。
同様に長男Aは父:一郎が死亡したときには
すでに亡くなっていたことになります。
【法定相続人】
それでは上記の例で、父:一郎、長男:Aの
法定相続人は誰がなるのでしょう。
法定相続人①
父:一郎の法定相続人
「配偶者は常に相続人となる」ですね。
母:花子は法定相続人となります。
もう一枠、血族相続人です。
この場合、第一順位の「子」(子A、B)に
その枠が与えられます。
ところが、子Aは同時死亡の推定によって、
すでに亡くなっていることになります。
ここで登場するのが代襲相続です。
代襲相続
本来の相続人である長男:Aが死亡してい
ますので、代襲相続が発生します。
『代襲者』はAの子であるA太郎です。
したがって、父:一郎の法定相続人は
母:花子
次男:B
長男の子:A太郎 の3人です。
長男:Aの法定相続人
「配偶者は常に相続人となる」ので、
長男の妻:A子が配偶者枠に入ります。
次に血族相続人枠ですが、長男Aには
第一順位の子(A太郎)がいますので、
A太郎が血族相続人枠に入ります。
したがって、長男:Aの法定相続人は
長男の妻:A子
長男の子:A太郎 の2人となります。
【法定相続分】
それでは、それぞれの相続人の法定相続分
をみていきましょう。
法定相続分
今回のケースでは、父:一郎、長男:Aとも
法定相続人は「配偶者と子(直系卑属)」に
よって構成されています。
したがって、
・配偶者「2分の1」 子「2分の1」
・子が複数いる場合は、さらに「均等割り」
のルールに従います。
父:一郎からの相続分
母 花子:2分の1
次男 B:4分の1
長男の子 A太郎:4分の1
長男Aからの相続分
長男の妻 A子:2分の1
長男の子 A太郎:2分の1
となります。
お分かりいただけたでしょうか?
こういった複雑な相続関係のときは家系図
を書いてみると理解しやすくなるかもしれ
ませんね。
実際に私たちも、お客様に相続関係を説明
するときには相続関係説明図を作成するこ
とがよくあります。
★今回のポイント★
1.死亡の先後が不明な場合は、同時に死亡
したと推定される
2.法定相続人、法定相続分については
それぞれの被相続人を基準にして考える
3.複雑な相続関係のときには家系図など、
分かりやすくして考えてみる
次回は『遺贈』をテーマにお届けします。