寄与分

20160722

こんにちは

今回のテーマは『寄与分』です。

これも前回の『特別受益』同様、相続人同士
の公平を維持するために、法定相続分の計算
のやり直しができる制度の一つです。

特別受益

それでは早速、『寄与分』について詳しく
みていきましょう。

 

【寄与分とは】
共同相続人のなかに、被相続人の財産を
維持、増加させるために特別な寄与をした
者がいるときは、その寄与によって維持で
きた分、または増加した分はその人に多め
に遺産を分配しましょう、という制度です。

やっぱり言葉だけだと分かりにくいと思い
ますので、いつものように具体例を挙げて
みていきましょう。

 

【寄与分の計算方法】
(例)
・相続開始時の遺産額:6000万円
・法定相続人は被相続人の子供3人
(子A、子B、子C)
・子Aが600万円遺産を増やす寄与をした

この場合、

通常の法定相続分の計算だと…
相続開始時の遺産額6,000万円を3人で
均等割りしますので、
1人あたりの法定相続分は2,000万円
となります。

しかし、このままだと子Aは「私が頑張って
6,000万円まで遺産を増やしたのに、何も
していないB、Cと同じ相続分というのは
納得いかない」という不満が生まれてしま
います。

そこで、子Aの貢献を遺産分割に反映させ
ようというのが、『寄与分』です。

 

寄与分を考慮した法定相続分は…
まず、増やした金額600万円を相続開始時の
遺産額の6,000万円から差し引きます。
6,000万円 - 600万円 = 5,400万円
子Aの貢献がなかった場合の遺産額です

次に、これを3人で均等割りします。
5,400万円 × 3分の1 = 1,800万円

最後に寄与した人には、寄与分をプラス
してあげます。
1,800万円 + 600万円 = 2,400万円

つまり、最終的な法定相続分の金額は
子A:2,400万円
子B:1,800万円
子C:1,800万円 となります。

子B、子Cは子Aの貢献の有無を問わず、
本来の法定相続分を相続することができ、
子Aは自身の貢献がプラスされた金額を
相続することができるので、相続人間の
不公平を解消することができました。

 

【寄与分に該当する貢献】
正直、限定することはできません。
主な例を挙げると以下のとおりです。

・被相続人が事業を行っている場合に、
 その事業を手伝い、遺産を維持、増加させ
 た場合
(ただし、給料や報酬などの代償を得て
 いないこと)

・被相続人に対して、生活費や医療費と
 いった財産的な援助を行い、それによって
 遺産を維持、増加させた場合

最近、「介護による寄与分は認められてい
ますか?」という質問が増えてきています
が、単に介護をしたというだけでは認めら
れず、介護によって被相続人の財産を維持
増加させたという具体的な事実が必要とな
ります。

 

★今回のポイント★
1.相続人同士の公平を維持するため遺産を
  維持、増加する貢献をした人がいる場合
  法定相続分の計算のやり直しができる
2.寄与分として認められるためには、単に
  行動した事実だけでなく、遺産を維持、
  増加させたという結果が必要

 

次回は『同時死亡の推定』をテーマにお届けします。

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