遺留分の放棄

20160711

こんにちは

今回のテーマは『遺留分の放棄』です。

遺留分についてはリンクを参照ください。
遺留分

法律の話に限らず「権利と義務」はセット
になることが多いですよね。
たまに「権利と義務」をゴッチャにして義務
を果たす前に権利を主張する人もいますが…

さて、この「権利と義務」の違いの一つに
「放棄ができるかできないか」という点があります。

もちろん、権利は放棄することができ、義務
は放棄することができませんよね。

 

話を元に戻します。
遺留分は法律上、最低限確保された「権利」です。
すなわち、遺留分は放棄することができます。

それでは『遺留分の放棄』について具体的
にみていきましょう。

 

【遺留分放棄の許可】
相続開始前
相続開始前の遺留分の放棄は家庭裁判所の
許可が必要となります。

これは、無制限に認めてしまった時に生前
被相続人から「お前は遺留分を放棄しろ!」
と強要される恐れがあるためです。

せっかく認められている権利なのに、こんな
強要が頻発すると、法律をつくった意味がな
いですよね。

そこで法律は、「相続開始前の遺留分の放棄
には家庭裁判所の許可が必要ですよ」と定め
ました。

許可の要件として、
1.遺留分放棄が本人の自由な意思に
  基づいて行われたこと
2.遺留分放棄の理由に、合理性や必要性
  があること が挙げられています。

相続開始後
相続開始後の遺留分の放棄は自由に行うこと
ができます。

もはや、被相続人から遺留分の放棄の強要
されることがないからです。

 

【他の共同相続人の遺留分への影響】
また新しい言葉が出てきましたね。
『共同相続人』とは、一緒に相続をする親族
のことと思ってください。

よくある質問
「共同相続人のうちの一人が遺留分を放棄
した場合、ほかの共同相続人の遺留分は増え
るのですか?」

答え…
増えません。
そんなに甘くないです(笑)
もうこれはルールとして覚えてしまって
ください。

 

【代襲相続との関係】
質問
「生前に遺留分放棄をした者の代襲相続人の
遺留分は復活するのですか?」

答え…
復活しません。
代襲相続人の遺留分は無しです。

この場合も法定相続分と同様、本来の相続人
の持分をそのまま引き継ぎます。

 

★今回のポイント★
1.相続開始前の遺留分の放棄は家庭裁判所
  の許可が必要
2.相続開始後の遺留分の放棄は自由にする
  ことができる
3.共同相続人の一人が、遺留分を放棄
  しても、ほかの共同相続人の遺留分
  は増えない
4.遺留分を放棄した者の代襲相続人の
  遺留分は無し

 

次回は「放棄つながり」で『相続の放棄』
をお届けします。

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